国内3大ECモールといえば、「楽天」「Amazon」「Yahooショッピング」です。
私は、会社でECサイトの運営もしていますが、EC-Cubeを使った自社サイト以外に、上記の3大モールすべてで出店をしています。
世の中的に、デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)と言われていますので、色々な業種の方から、ECモールやECサイトの出店についての相談を頂きます。
今回は、3大ECモールの一般的な特徴と経験談をまとめてみましたので、参考にしてください。
また、ユーザー目線の解説も入れてますので、ご確認ください。
始めに言っておくと、ECモールを作った後、放置して売れるほど簡単ではありません。
きちんと施策をしたり、人のリソースを割かないと、せっかく売れる商品も売れないのが現実です。
「とりあえず、ECサイト作ったら売れるだろう。」と考えている方は、期待するほどの成果が出ないで、挫折するケースが多いです。
国内EC市場規模
国内ECの市場規模(BtoC及びBtoB)について、経済産業省が2020年7月22日に発表しています。
2019年の日本国内EC市場規模(BtoCーEC)は、19兆3609億円で、昨対比7.65%増でした。
下のグラフはBtoC-EC市場の過去の推移を表したものです。
なお、2019年の国内BtoB-EC市場規模は353兆円で、昨対比2.5%増です。
今後もEC市場は引き続き進展が予想されています。
各ECモール出店の特徴
現在の国内ECモールでは、「楽天」「Amazon」が2強で、それを追随するのが「Yahooショッピング」という構図になっています。
楽天
国内ECシェアNo.1の楽天市場。知名度が高いので、圧倒的に集客力があります。
CMでもお馴染みになっている「楽天スーパーセール」や「お買い物マラソン」を定期的に開催しているので、ユーザーが付きやすいです。
「楽天経済圏」という言葉があるように、楽天の幅広いサービスで利用者を増やしている楽天ですが、その中心にあるのが楽天市場です。
楽天ポイントを利用している人は、楽天市場での買い物が多いです。
ちなみに、私も楽天ユーザーの1人ですので、楽天市場をよく利用しています。
楽天は、2019年度(2019年1月~12月期)の国内EC流通総額は3兆9,000億円(昨対比+13.4%)であったと発表しています。国内EC流通総額には、楽天市場以外にも、ラクマや楽天トラベル、楽天ブックスなどの楽天グループのEC事業全てが入っています。残念ながら、楽天市場だけの流通額は公表されていませんでした。
楽天市場の出店店舗数は約50,000店舗になります。
楽天市場の出店プランと概要
プランは全部で4プラン用意されています。ライトプラン以外は1年契約プランとなっています。
各プランに応じて、登録可能商品数や画像容量の上限は決まっていますが、
詳細は楽天市場出店のプラン・費用のページをご確認ください。
充実したサポート体制
出店をすると、ECコンサルタントが付きます。特に初めのうちは、不明点が多いですので、私の会社のスタッフもかなり相談をしていました。
また、楽天大学といった、無料のe-ラーニング講座があり、これは基礎から応用まで講座が用意されているので、出店してからしばらく経過しても、利用することが多いです。
出店費用は決して安くない
毎月数万円かかる出店費用は、安いものではありません。それに加えて、システム利用料も取られますので、その点を考慮して出店を検討しなければなりません。
また、送料無料ライン対応(39ショップ店舗)で、3,980円(税込)以上購入の場合は、店舗が送料を負担することになったので、送料についても費用として考えておく必要があります。
ただし、冒頭でも説明しましたが、知名度と集客力はすごいです。中でも「楽天スーパーセール」の最中などは、商材ありきの話にはなりますが、通常とは比較できないくらい売れるものもあります。
セール前の買い控えなども起きている印象です。
楽天は、自分のショップを持つので、自分のお店のファンを作ることが成功の秘訣です。
レビューを見ていると、商品にも付きますが、「安心してお願いできるお店です」といったレビューを頂くことも多いです。
まずは、楽天市場出店(資料請求)をしてみて検討されるのが良いかと思います。
Amazon
日本のEC市場の双璧となっているのが、「楽天市場」と「Amazon」です。
Amazonは世界を代表するIT企業ですが、日本では国内EC以外で言えば、Amazon Prime VideoやAWS(アマゾン ウェブ サービス)などが有名になってきています。
よく、「Amazonは出店できるのか?」と質問されますが、「Amazonマーケットプレイス」を使って出店をすることができます。
利用者の方は、Amazonから送られてくるので、Amazonの出品だと思われている方も多いです。
アマゾン日本事業の2019年(2019年1月~12月)売上高は円ベースで1兆7442億1900万円(2019年の平均為替レートを1ドル=109円で換算)でした。前期比13.6%増とのことですので、楽天同様今後も成長が見込めます。
※出展:2019年の年次報告書
Amazonも出店数の公表を現在はしていません。2015年には約17万店舗だったことから、現在はかなり増えていることが予想されます。
Amazonは集客力は抜群に強いです。特にAmazonプライム会員は、Amazonが発送する商品の送料が無料になることもあり、「ネットでの買い物はAmazonしか利用しない」という人もよく聞きます。
Amazonの出店プランと概要
プランは2プラン用意されています。販売された各商品に販売手数料がかかり、商品カテゴリー毎に異なりますが、約8~15%の手数料となっています。
Amazonは店舗を持つというより、商品を掲載するイメージが近いです。
同一商品がある場合は、価格と在庫を入力すればすぐにでも販売が開始できます。
従って、型番などのある商品を販売する場合は、値段勝負になりやすいです。
販売手数料は他ECモールに比べて高いですが、それが吸収できるのであれば、利用してみてよいと思います。集客力があるサイトですので、一定数の売上は期待できます。また、売れない場合でも月額費用が抑えられるので、テスト販売などもしやすいですね。
プライム会員に対応するためにFBAを使うのも一手
Amazonは、先ほども記述した通り、プライム会員の方が利用することが多いです。
プライム会員は基本的に、送料無料に慣れている傾向があります。
これは、他のユーザーから聞いた話ですが、Primeマークがついているものだけで検索するAmazonユーザーも多数いるとのことです。
FBA(フルフィルメント By Amazon)は手数料がかかるものの、Amazonプライム対象商品となり、配送に関する業務負担が軽減されるので、利用の価値はあります。
実際に私も数点の商品はFBAを利用していますが、配送に関する業務負担がほとんどないので、かなり便利です。しかし、回転率が悪いものはお勧めしません。
FBAのぺージでは以下のような記述もありますので、ご紹介します。
FBAを利用されている販売事業者様を対象とした調査結果では、75.5%の販売事業者様が「FBAをご利用開始後、利用前と比較して売り上げが向上した」と回答しています。
出展:商品の保管から配送まですべてFBAにおまかせ
(無回答を除く:2018年7月Amazon調べ)
Yahooショッピング
Yahooショッピングは2013年に月額の出店料が無料になり、EC出店をしやすくした立役者でもあります。
EC出店者がYahooに殺到したこともあり、2019年3月には87万店舗を超えています。
Yahooショッピングの特徴は、解説した通り出店費用(初期費用と月額利用料)が無料という点があげられます。
商品が売れた場合に、ストアポイント原資負担が最低1%、キャンペーン原資負担が1.5%などの手数料を引かれます。それ以外にも、アフィリエイト手数料やカード決済の手数料等があります。
ストアポイント原資負担やアフィリエイトパートナー報酬原資は、自分で料率を変更できますので、一概には言えませんが、最低限発生する手数料は、他のモールに比べると安く感じます。
Yahooショッピングの出店プランと概要
Yahooショッピングは現在1プランのみとなっています。
費用については、既に記述した通りです。
Yahoo!JAPANは日本最大級のポータルサイトで、日本人の約3人に1人がYahoo!JAPANを訪問しているとのことです。そこからYahooショッピングへの導線が出来ています。
例で言うと、Yahoo!JAPANで検索したときにYahooショッピングの露出がありますので、そこからの流入が期待できます。
Yahooショッピングはソフトバンクユーザーによく利用されている傾向があります。
Yahoo!JAPANの親会社がソフトバンクですので、ソフトバンクユーザー向けのキャンペーンなどがあるためです。それ以外にもYahoo!プレミアム会員に向けたポイントキャンペーンなど、頻繁にポイントキャンペーンが実施されています。
楽天市場同様にモール内に自分のショップを持つことになりますので、こちらも自分のお店のファンを増やすことが成功の秘訣です。
また、こちらも楽天市場同様にECコンサルタントがつきます。
Yahooショッピングの場合、最初は頻繁に電話で状況確認をしてきますが、その後は店舗側から積極的に聞いていかないと、あまりコミュニケーションはありません。
しかし、不明点やトラブル時などは相談できる相手がいることは強みですので、心強いです。
出店数が多い=ライバルが多い
出店数は楽天市場よりも約17倍多いです。つまり、同カテゴリーに存在する店舗も自ずと多くなります。
一方で、ページビュー(PV)数は、楽天の7分の1でしかありません。
訪問数は楽天のほうが多く、店舗数はYahooショッピングのほうが多いというのが現状です。
ライバルが多い分、露出を増やすために広告費に回すショップもあります。
Yahooショッピングは、他モールと比較してかかる費用が少ない分、ライバルが多いです。
しかし、EC初心者からしたら未知数の世界にコストをドンっとはかけられないと思いますので、Yahooショッピングは開いておくべきだと思います。
運営しているショップの実情
私がショップを運営している中では、以下の通りになります。
モールでの売上や、商品カテゴリーにも寄りますので、一例として考えてください。
ショップオープンの順番は、Yahooショッピング→Amazon→楽天です。
Yahooショッピングを始めにした理由は、コストが少なくて済むからです。
その後、少し売れていたので、新規事業としてEC事業部を立ち上げて本格的に進めました。
売上比率は、楽天50%、Amazon35%、Yahooショッピング15%です。
楽天は施策にかなり時間を費やして、戦略的に進めているので、売上を伸ばしています。
ただ施策をする前は、Amazon50%、楽天40%、Yahooショッピング10%でした。
商材にも寄りますが、価格勝負で売上が上がりやすいのはAmazonでした。
固定費は楽天が一番費用として高く、Amazon、Yahooの順です。
手数料はAmazonが一番高く、楽天、Yahooの順です。
楽天が一番施策に費やしている時間は多いです。
その甲斐あって、売上増に貢献しています。
その他、EC事業を成長させるために講じたのは、外部のコンサルタントを利用しました。
外部コンサルタントは良し悪しがありますので、費用的に問題なければ試すのも一つかと思います。
あと、バックヤードツールなども多数ありますので、自分たちに合ったものを見つけて利用するのが良いと思います。
冒頭でも説明しましたが、作って終わりではありません。作ってから初めてスタートです。
ただ、しっかりと施策をすることで、わかってくることも多いですので、注力して作業を進めることが一番の成功への近道だと私は信じています。